総務省が1日公表した労働力調査によると、10月の完全失業率(季節調整値)は前年比+0.1ポイントの3.1%でした。水準自体は低いですが、上昇傾向にあり、雇用環境は明らかに悪いです。
失業者数の増加にも歯止めがかかりません。10月は前月比+8万人の214万人(季節調整値)でした。季節調整値での比較ですが、1月から失業者は50万人増えています。
完全失業者率の悪化と失業者数の増加で懸念するのが自殺です。近年は低水準で推移していた自殺者数ですが、夏頃から急増しています。有名人の自殺が相次いだ影響もありそうですが、根っこにあるのは雇用環境の悪化でしょう(下のグラフは前年比の推移)。
厚生労働省が1日公表した一般職業紹介状況によると新規求人数は前月比▲5.8%の71万4,668件でした。前月までは2ヶ月連続で増加していて回復軌道の乗るのかと思っていたら後退してしまいました。
業種にもよりますが、これだけ求人数が少ないと、転職活動をしても自分の希望に沿う職場に巡り合う確率は低そうですね。転職を考えているなら、少なくとも転職先が決まってから今の会社を辞めるべきです。理不尽なことに悩んでいる方もいらっしゃるでしょうが、現在の雇用環境を冷静に見つめ、今はスキルアップに努めるべきかも?
有効求人倍率は前月から若干上昇して1.04倍(季節調整値)でした。新規求人数は減ったのですが、前月から募集中の求人数は多かったため、1倍割れは免れたようです。
「前月から募集中の求人数は多かった」一因として、求人と求職者のミスマッチがあるのではと思います。職種のミスマッチもありますし、給与水準のミスマッチもあるでしょう。求職者側は「もう少し給料がないと…」と思い、企業側は「これくらいじゃないと雇えん」というせめぎ合いが起きているのかもしれません。今の雇用環境を見ると、このせめぎ合い、企業側が勝ちそうです。
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