ウイグル産の綿花の使用をユニクロ自ら発信 決算発表会で企業トップは質問攻めに?

以前から知られていたウイグル人へのジェノサイドについて日本のマスコミも報じるようになってきた。これに伴いウイグル人の強制労働によって生産されたモノを扱っている企業に厳しい目が向けられている。ユニクロはウイグル産の綿花を使用した製品を販売していると疑われているが、実は数年前に自社の広報誌で使用していると図らずも公開している。
ニッポンの数字 2021.04.24
誰でも
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【本題前の雑談 転職話1】

今週から記事に入る前の雑談で、何回かに分けて私の転職についてお話ししたいと思います。前の会社を昨年末で退職したのですが、退職した理由は過労です。ほぼ在宅勤務だったのですが仕事量が多すぎてひどい時は週末に徹夜しました。健康診断ではこれまで引っかかることなど皆無だった心電図でB評価となり、総合評価はC(絶対ストレスのせい)。仕事量は増える一方だったので退職することにしました。私は41歳のおっちゃんですので転職活動で苦戦することは必至。おっちゃんの運命はいかに!?

※今回は最後にアンケートがあります(4択から1つ選ぶだけのもの)のでぜひご協力お願いいたします。

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ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井会長が2021年8月期の中間決算発表会で、自社製品がウイグル産の綿花を使用しているかについて「ノーコメント」というコメントをしました。否定をしなかったのでウイグル産の綿花は使用していると見られても仕方ないでしょう。

ウイグル産の綿花の使用の有無がなぜ批判の対象になっているかというと、ウイグルで生産されているモノが強制労働によって作られた可能性が高いためです。

中国がウイグル人を「再教育施設」に隔離し、そこで人権侵害という言葉では足りない程酷いことが行っているのはもはや周知の事実でしょう。そうした場所で生産されたモノが売買されると強制労働や人権侵害をさらに促進させてしまうおそれがあります。

広報誌でウイグル産の綿花を使用しているのを公言

柳井会長はノーコメントでしたが、実はウイグル産の綿花を利用していることをユニクロはオープンにしています。こちらはユニクロが2015年6月に発行した「服のチカラ vol.14」です。

※クリックするとPDFが開きます。

この号ではユニクロの取引先である魯泰(ルータイ)紡織社(中国山東省)の取り組みをクローズアップしています。ここで魯泰の藤原英利最高顧問はこのように言っています。

綿花の品質はとても大事です。商品の良し悪しの 半分は人がつくる。残りの半分はやっぱり素材です。 綿花の栽培にぴったりの気候だった新疆(シンキョ ウ)ウイグル自治区に自社の綿花畑をつくったのも、 素材重視の方針があってのことでした。

中国国内の商社を経由してウイグル産の綿花を仕入れて縫製しているようです。別のネット記事(繊維ニュース2018年10月5日)でも魯泰の役員が、「新疆ウイグル自治区には自社の綿花畑があり、使用する綿花の約4割をここで調達しています」と答えており、同社がウイグル産の綿花を活用しているのを明らかにしています。

ユニクロの「服のチカラ vol.14」に戻りましょう。今読むと非常に気味が悪い箇所があります。

 綿花畑をつくるのと同時に、現地に小学校を建設 しました。学校運営については地元の方々にお任せ していますが、学校を建てたのは、単なる生産地と してかかわるだけでなく、社会貢献できる企業とし て、新疆(ウイグル自治区)とかかわるべきだと考えたからです。

これを額面通り受け取る人がどれだけいるでしょう。

決算発表会はウイグル問題の見解を問う良い機会

今後、ファーストリテイリング(ユニクロ)がウイグル産以外の綿花を利用するか否かは分かりませんが、ノーコメントで切り抜けるのは難しいのではないでしょうか。

ユニクロは日本のアパレル企業としては珍しく海外の売上が国内の売上を上回っています。海外の売上の柱は中国です。近年、中国での売上は大きく伸びました。2015年8月期の中国での売上は2,060億円でしたが、2020年8月期は3,809億円、コロナの影響がなかった2019年8月期は4,115億円と過去5年で倍増しています。日本での売上は約1兆円なので売上規模は日本に及びませんが、成長のエンジンとなっているのは中国です。

柳井会長は政治的な話題に触れたくないと先の会見で述べたようですが、これは不用意な発言で売上規模の大きい中国を刺激したくないという理由もあるのでしょう。

中国を非難するようなことを言いたくないというのはユニクロに限ったことではありません。中国に生産や売上を依存している日本企業はトヨタなどの自動車メーカーをはじめたくさんあります。そうした企業はウイグル問題など触れたくもないでしょう。

ちなみに今回はユニクロの2021年8月期の中間決算の会見があったのでこのタイミングで柳井会長の見解を聞くことができました。

今月下旬から3月期決算の企業の決算発表が相次ぎます。今回ユニクロはトップバッターとしてウイグル問題に関する質問を受けましたが、今月末から始まる決算ラッシュと合わせて民間企業のトップはウイグル問題に対して見解を示さざるを得ない状況になるでしょう。

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