コロナが追い風になった企業 ― キムチ、自転車、DIY

4月に小売業を中心に2月期決算が出揃った。4月下旬からGW明けにかけては3月期決算の発表が相次ぐ。コロナ禍の決算ということで業績の悪い企業の報道が目立つが、コロナが追い風になった企業も少なくない。今回は業績の良かった3社を取り上げて、コロナ禍でどんな事業がウケたのかを見てみる。
ニッポンの数字 2021.05.03
誰でも
***

記事前の雑談―転職②

昨年末に何の見通しもなく仕事を辞めてしまった私ですが、仕事を辞める決めたときに転職サイトには登録しました。転職サイトは複数登録したのですが一番頼りのなったのがリクナビエージェント。とにかく求人数が多い! 非公開のもの多くリクナビ(ややこしいがリクナビエージェントとは別組織)には載っていない求人もたくさんありました。それは41歳のオッサンでも何とかなるんじゃないかと錯覚させるには十分な量で、年明けから本格的に活動すれば何とかなるかと思い年末年始は悠々自適に過ごしました。

※この記事前の雑談は次回以降メール限定で掲載しますので興味のある方は購読お願いします。個人的なことを書くのは楽しいのだけどオープンな場で話しすぎるのは控えんと…

***

4月の中旬に小売業を中心とする2月期決算が出揃い、3月期決算の発表が今週から本格化してきました。コロナの影響で悲惨な業績となった企業が多数ありますが、ここではコロナを追い風にした企業3社を紹介していこうと思います。3社とも渋めの企業ですが、業態を見ると「なるほど」と思われるはずです。

ピックルスコーポレーション

2021年2月期(括弧内は前年比)
売上高:460億円(+11.1%)
営業利益:27.1億円(+44.9%)
純利益:18.3億円(+42.0%)

社名を聞いてもピンと来ない人でも「ご飯がススム」と聞けば、「キムチの会社か!」と思いつく人は多いのではないでしょうか。

ファミレスや居酒屋が時短営業や休業を余儀なくされる中、スーパーの業績が好調だったのは周知の通りです。自宅で食事をする機会が増えたということですが、それに伴ってピックルスコーポレーションの売上も伸びたということでしょう。

あさひ

2021年2月期決算(括弧内は前年比)
売上高:695億円(+16.0%)
営業利益:68.6億円(+71.3%)
純利益:47.2億円(+84.3%)

自転車専門店「CYCLE BASE asahi(サイクルベースあさひ)」を全国に展開している会社です。一般的な自転車の売上は前年並みだったのですが、スポーツ向け、子供向け、それから電動アシスト自転車の売上が大きく伸びました。

スポーツ向けが売れたのは、人と触れ合う娯楽の機会が減少がいくらか影響したのかもしれません。新型コロナの感染リスクを気にせず楽しめることとしてサイクリングをする人がいくらか増えたのでしょう。それから昨年は一人当たり10万円が給付されたのでこれもプラスに働いたはずです。これは子供向けや電動アシスト自転車にも同じことが言えそうです。

マキタ

2021年3月期決算(括弧内は前年比)
売上高:6,083億円(+23.5%)
営業利益:885億円(+38.1%)
純利益:620億円(+29.9%)

この会社を知っている人はきっとDIY大好き人間! インパクトドライバーなどを製造・販売している会社です。園芸工具なども扱っており、大きなホームセンターに行くとマキタの商品を見ることができると思います(本質的なところを言うとこれらの製品をコードレスでストレスなく利用できるようにする独自のリチウムイオンバッテリー技術がマキタの強みです)。ちなみに私は、マキタのコードレス掃除機を通販で買いました。Youtubeでもよく紹介されていて評判もよく、実際使っている感じも評判どおりです(吸引力抜群でお手入れもラク!)。

コロナ禍ではスーパーと同様にホームセンターも好調でした。家で過ごす時間が多くなり、「家の中を充実させよう」という思いがみんなをホームセンターに向かわせたのでしょうか。そこで「ちょっと凝ったこともしてみようか」という需要をマキタは掴んだのかもしれません。

ちなみにホームセンター需要(マキタの需要)は日本に限らず、海外でも旺盛だったようです。下記はマキタの地域別の2021年3月期の売上高になります(括弧内は前年比)。

日本:1,130億円(+12.3%)
欧州:2,827億円(+30.8%)
北米:909億円(+25.8%)
アジア:393億円(+0.9%)
中南米:294億円(+13.1%)
オセアニア:413億円(+45.3%)
中近東・アフリカ:115億円(+16.1%)
※マキタの決算短信より

各地域別の増収の理由を見ると「巣ごもり需要」という言葉が散見されます。コロナ禍で住まいを充実させたいという思いは世界共通なようですね。

***

ニッポンの数字のニュースレターは毎週1回程度配信しています。たくさんの方々に読んでいただけると励みになるので、この記事をおもしろいと思っていただいた方はぜひ無料購読の登録をお願いいたします! 登録された方にはメールで配信します。メールではちょっとした世間話もしますので興味がある人はぜひお試しを。

無料で「ニッポンの数字」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
リベンジ消費は誰のものに? アイデアマンが需要が掴む
誰でも
なぜ物価「上昇」を目標とするのか - 答えは給料が上がるから
誰でも
あなたも明日から実践できる? 日本医師会に学ぶ処世術
誰でも
斜陽産業、マスコミ - 広告、業績、利用時間で見るマスコミのヤバさ
誰でも
GDPで解説する統計の見方 - キーとなる名目値と実質値
誰でも
物流の動向を把握する意外な指標 - ZOZOとユナイテッドアローズの差...
誰でも
ウイグル産の綿花の使用をユニクロ自ら発信 決算発表会で企業トップは質問...
誰でも
リーマンショックと比べたら全く悪くないコロナ渦の経済対策