2021年度の補正予算の時期を予想 - マスコミは今年もワイドショーに注力

2021年は総選挙がある。衆議院議員の任期満了前に解散する可能性もあるので時期はわからないが夏にオリンピックがあるのを考えれば秋に実施されるのが有力だろう。ここから逆算して2021年度の補正予算が組まれる時期を予想してみた。
ニッポンの数字 2021.01.02
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2021年の大きなイベントとして東京オリンピックと衆議院選挙があります。東京オリンピックは現時点で開催される方向で動いていますが、まだ実現できるかわかりません。こちらはワクチンの普及とその効果次第といったところでしょうか。

一方、現在の衆議院議員の任期は10月21日までなので衆議院選挙は必ずあります。菅総理が任期満了を待たずに衆議院を解散することもあるので、いつ衆議院選挙があるかは確定してませんが、今年あるのは間違いないです。

政治と聞くだけで眉をひそめる人がいると思いますが、経済を予測する上で政治の動きを見ることはとても大事だと思っています。何せ日本のGDPは500兆円以上あります。これに対して1%だけ影響を与えようとしても5兆円が必要です。それくらいの金額のインパクトを与えることができるのは国くらいでしょう。したがって誰が国の中で影響力を持っているのかを観察するのはとても大事です。

ちょっと偉そうですが、新年早々の浮ついた気分に乗じて、政治の動きを予想して2021年の経済を予想してみましょう。

政治ワイドショーで国会スタート

通常国会が1月に招集されますが、まず最初に12月に閣議決定した補正予算を成立させ、次に来年度予算を成立させるのが政府の仕事になります。

予算はいずれも予算委員会で審議されますが、予算委員会では予算以外のことでも何でも質問OKという謎ルールがあるので、これに乗じてマスコミも話題作りのための記事を書き、それについて野党が攻めるという構図で予算委員会は展開されるでしょう。

政府・与党は予算を通したいので、この質問に耐え忍ぶしかありません。ということで来年度予算が通る3月末までは新しい政策の話はほぼ出ず、ワイドショーを賑わす話題で国会議論は進むでしょう。

4月以降は法案成立に向けてコツコツ審議

新しい政策の話題が出てくるのは4月以降になるでしょう。毎年、次年度予算の概算要求が8月末にあるのですが、そこを目掛けて新しい政策が各省庁で議論されます。

そして6月には来年度予算の方向性が示されます。それは経済財政諮問会議のペーパーで記されるはずです。ここで大まかな政策の方向性が提示されます。逆にここで提示されない政策は実行されません。これは予言でも何でもなく予算要求する上のルールのようなものです。

したがって4月と5月には各省庁で次年度以降の政策が議論されているはずです。菅総理は総務大臣を務めていたことがあり、総理大臣になってからも携帯電話料金の値下げに力を入れているようなので、総務省関係の政策にはまたおもしろいものが出てくるかもしれません。

ちなみに菅首相が解散を打つタイミングとしては予算が通った後の4月〜オリンピック開催前と、オリンピック終了〜衆議院議員任期満了までの2通りでしょう。ただ、3月末に予算が成立した後は通常国会に提出した法案審議が本格化します。

もしこの時期に解散すると通常国会で審議できない法案がたくさん出てくるはず。法案が通らないと新しい仕事ができませんから、政策通で仕事人の菅首相は提出した法案の成立を優先するんじゃないかなと思っています。

自殺者の増加を重く見れば補正予算はデカくなる?

足元の雇用環境は依然として悪く、自殺者数も増えています。2020年の自殺者数は1月に速報値、3月に確定値が公表されるので2回にわたって大きな話題になるでしょう。それを政府が黙って見過ごすとは思えません。

自殺者数の増加には経済要因もあるはずなので補正予算を組むはずです。さすがに予算規模まで予想できませんが、何らかの経済対策を打つのではないでしょうか。

そして総選挙が今秋に実施されます。同時期に自民党の総裁選挙もあるのですが、昨年実施したばかりなので今回は無投票ということもあり得るでしょう。菅首相以外に立候補者がいれば、政策議論が深まる良いチャンスなので総裁選が行われることが望ましいです。

自民党総裁選と総選挙へ突入する仮定で経済対策についての議論も当然出てくるでしょう。季節要因やワクチン効果の期待を込めて、春頃から経済が回復軌道に乗っていると期待してますが、それでもコロナ前の経済状況に戻るにはもう一押しの経済対策が欲しい状況なのではないでしょうか。みんな大好きな消費減税の話が出てくるととしたら、夏の終わり頃の時期でしょうか。

予想しやすいからマスコミはネタを仕込みやすい

ちょっと偉そうに政治スケジュールから経済対策が出るタイミングを予想してみましたが、今年総選挙があることに間違いありません。オリンピックなどのイベントを考慮するといつ選挙になるかは比較的読みやすいので、その時期を狙ってマスコミもネタを仕込みやすいはずです。

最近のマスコミの傾向として、通常国会のときにワイドショーネタをぶち込む傾向があります。「森友学園」や「桜を見る会」がそうです。これで政権の支持率も落ちたので、野党推しのマスコミは味をしめているでしょう。今年は選挙があるのでオリンピックが終わった頃にワイドショーネタをぶち込む新聞社があるかもしれませんね。

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