そこまで悪くない景況感 - サービス産業の回復にはワクチン接種拡大が不可欠
内閣府が12日に発表した景気ウォッチャー調査は前月比▲10.1ポイントの35.5と大幅に下落しました。景気ウォッチャー調査は小売店などの事業者に「景気が良いか悪いか」を聞いたアンケート調査です。中間値が50で、50を下回ると「景気が悪い」と答えた人が多いことになります。
12月は新型コロナの感染が急速に拡大した時期で下旬には飲食店の時短要請ありました。それを反映した結果でしょう。
景気ウォッチャー調査には「現状」と「先行き」の2つの指標があります。先程のグラフは「現状」の推移です。「先行き」の推移も見てみましょう。
「先行き」は、2〜3ヶ月後の景気について「良くなると思うか。悪くなると思うか」と尋ねた調査になります。11月に「景気の先行きはどうか」と尋ねたとき10月から10ポイント以上下落しましたが、12月は11月から若干上がっています。
12月の時点で新型コロナの感染がさらに拡大すること、緊急事態宣言が出ることも織り込み済みだった思いますが、水準は低いとは言え12月時点の先行きが前月からプラスになったのは不思議な感じがします。
おそらく緊急事態宣言を昨年4〜5月に経験しているので耐性がついているのでしょう。しかも今回の緊急事態宣言では、片っ端からお店を営業停止にするのではなく時短営業がメインになります。そして時短営業のターゲットとなっている業種も飲食が中心です。
そう考えれば昨年の緊急事態宣言時よりも状況はマシなはず。そんな思いが「先行き」の数字に表れているのだと思います。
サービス業はいつ回復することやら
経済産業省は13日、特定サービス産業動態統計調査の11月速報値を公表しました。業種別の売上高等は下の表の通りになります。
11月は下旬から新型コロナの感染者は今ほど拡大しておらず、GoToキャンペーンの効果もあってか飲食店など小売店の売上が回復してきた時期でした。それにもかかわらずBtoC向けのサービス業(ボウリング場や遊園地・テーマパークなど)は相変わらず売上が冴えません。
上の表にはありませんが、各種イベントなどは入場者制限が設けられており、運営者側は思うような収益を期待できない状況が続いています。新型コロナの感染が完全に収束しない限り、サービス業の回復は難しそうです。
世界でワクチン接種始まる 明るい兆しも
明るい兆しもあります。世界ではワクチン接種が着実に進んでいます。米国では既に1000万件のワクチン接種がなされています(2021年1月13日時点)。

Our World in Data
1000万件(一人2回打っているケースも含む)と言っても米国の人口の3%程度に過ぎませんが、ワクチン接種開始から1カ月経たないうちに1000万件ですから今後接種ペースが加速すれば、今年中のコロナ収束も見えてきそうです。
日本も2月下旬に接種開始を目指しているようです。体制整備を迅速に行い、集団免疫の効果が出る人口あたり接種率60%を早期に達成してほしいですね。
ワクチン接種が拡大すれば景気の先行きもよくなります。それに合わせて景気刺激策を講じればヒャッホーです。下の表は旅行会社H.I.Sの国内旅行取扱高の前年比の推移です。
2020/01 ▲0.1%
2020/02 ▲3.7%
2020/03 ▲61.9%
2020/04 ▲95.7%
2020/05 ▲99.5%
2020/06 ▲94.6%
2020/07 ▲84.3%
2020/08 ▲81.4%
2020/09 ▲64.6%
2020/10 ▲19.2%
2020/11 +28.3%
※引用↓
昨春の国内旅行はゼロにほぼ等しかったですが、秋口から回復して11月は前年比+28.3%とプラスに転じました。明らかにGoToキャンペーン効果ですね。
ワクチン接種が広まってからのGoToキャンペーンがあったら観光業界はもちろん、サービス業も飲食店も賑わいそうです。
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