急増する自殺者数 - 根っこには雇用環境の悪化
11月の自殺者数(速報値)は前年比+11.3%の1,798人でした。5ヶ月連続の上昇です。10月が前年比+40.2%、女性に限ると+82.8%だったので、それに比べると落ち着いた数字に見えますが、二桁増が続いている状況はやはり異常です。
春先は自殺者が減っていた
今年は、今後の自殺対策を考える上で重要な年になりそうです。ここで今年の自殺者数を月ごとに前年比で見てみましょう。
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1月 ▲0.2%
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2月 ▲10.0%
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3月 ▲5.8%
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4月 ▲17.2%
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5月 ▲14.7%
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6月 ▲4.3%
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7月 +3.2%
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8月 +19.2%
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9月 +11.3%
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10月 +40.2%
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11月 +11.3%
上半期は前年までのトレンドを引き継ぎ、自殺者数は引き続き減少傾向でした。特に4月と5月は自殺者数は急減しました。
ここから若年層の自殺対策のヒントを得ることができます。
下のグラフは自殺率(人口10万人辺りの自殺者数)の推移です。全体(総数)の自殺率は減ってきているのにもかかわらず10-19歳の自殺率は増えています。全体と比較して10代の自殺率は低いですが、傾向は真逆です。
最悪のタイミングで有名俳優が相次ぎ自殺
春先は急減した自殺者数ですが、
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6月 +2.8%
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7月 +17.6%
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8月 +44.2%
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9月 +29.3%
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10月 +82.8%
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11月 +18.7%
この現象は2011年5月にも見られました。
厚生労働省が翌年に発行した自殺対策白書でも自殺者数が急増した理由として
根っこには雇用環境の悪化が
10月には男性の自殺者も増えました。下記は男性の自殺者数(前年比)の推移です。
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6月 ▲7.3%
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7月 ▲3.3%
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8月 +9.0%
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9月 +3.4%
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10月 +21.7%
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11月 +7.6%
女性ほどではありませんが、こちらも俳優の自殺報道が影響しているかもしれません。ただ、これは女性にも言えることですが、雇用環境の悪化が影響してるのではないかと思います。
もともと失業率の悪化と自殺者数の増加には高い相関性があります
雇用環境は自殺者数に大きな影響を及ぼします。今年10月の失業者数は206万人(季節調整値)を超えており、まだ増えそうな勢いです。今後も自殺者数が増える可能性が高いため、雇用環境を良くする政策が必要でしょう。新型コロナの影響で雇用環境を回復させるのが難しいのなら、生活に困っている層への給付が必要です。
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