10月の自動車メーカー生産動向 - 上方修正の理由がよくわかる

10月の自動車メーカーの生産動向を見ると、トヨタ自動車(連結)が前年比+6.6%、ホンダが前年比+5.7%、SUBARUが+14.0%など好調な数字が目立つ。国内の生産動向も悪くないが、ボリュームの大きい海外生産の復調のほうが寄与度が高い。中でも際立っているのが中国。
ニッポンの数字 2020.11.28
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鬼滅の刃、皆さん見ましたか? 私は漫画も見たことないのでストーリーも時代設定も主人公が誰なのかも全くわからず、お馴染みのフレーズを言われてもきょとんなのですが、ここまで騒がれると気になるので、今度見に行ってみようかなと思っています。それで近くの映画館のチケットの販売状況をチェックしてみたのですが、びっくりしました。チケットは買えるのですが、4スクリーンを占領して1日19回上演してるんです。これだけ人気があると、コラボ商品を仕掛けたくなる企業の気持ちがわかりますね。

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自動車メーカー10月の生産動向が27日出揃いました。日産自動車と三菱自動車以外(ていうか日産自動車グループ以外)は前年比プラスです。

グラフの数値はすべて前年比です。日野自動車も元気がありませんが、トヨタグループでくくれば大したことはないでしょう。見ての通り、「トヨタ_連結」の10月の生産は前年比+6.6%でしたから。

中国市場の回復が鮮明 中国頼みになる?

成長のエンジンが海外市場にある自動車メーカーにとって、コロナ前の生産に戻るには海外の回復が不可欠です。前年比プラスを記録している企業が出てきた背景には、中国市場の活況があります。次の3社は中国での生産動向も公開している企業の10月の生産台数(前年比)です。

  • トヨタ自動車:13万6,873台(+10.3%)

  • ホンダ:15万8,722台(+25.6%)

  • 日産自動車:14万3,410台(+10.5%)

いずれも二桁増です。ホンダは、10月としては中国での生産台数が過去最高を記録しました。日産自動車は全体では▲15.1%とマイナスでしたが、地域別に見ると中国だけがプラスを記録しました。

新型コロナの感染源の経済がひと足早く回復しているのを見ると複雑な気分になりますが、経済が落ち込むよりはいいでしょう。日本のエクセレント・カンパニーが中国頼みになって、それが国の外交にも影響を与えるようになると嫌ですが。まあ、これは外交に詳しくない著者の戯言です。

輸出も回復

自動車メーカーの現在の状況は輸出からも見て取れます。輸出動向は財務省の貿易統計から確認できるのですが、10月の自動車の輸出は前年比+3.0%となりました。前年10月が▲9.6%だったのでその反動でプラスになった側面は否めませんが、それでも春先の大きなマイナスからプラスになったのは明るいニュースと見ていいでしょう。

トヨタ、ホンダ、SUBARUは上方修正済み

好調な生産動向を背景にトヨタとホンダ、SUBARUは2021年3月期の従来予想を上方修正しています。一番右側の「従来予想比」に注目してください。

いずれも前年を下回る業績で着地する見込みですが、春〜夏にかけて出した予想を大きく上回っています。思っていたよりも足元の景気が良いということでしょう。ただ、この3社が言う「景気がいい」は日本よりも中国を指している可能性もありますが。

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次回の配信は11/29(日)の9時です。先日、国の決算が国会に提出されて2020年度の決算書が見られるようになったのでそれをネタに税外収入について語ってみようかと。国の収入って、所得税や法人税だけじゃないんですよ!

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